お互いに育ちあう教育活動

地上に天国をつくる出口王仁三郎の教え

 

出口王仁三郎研究グループ・目崎真弓

2019.12.19 ニューデリー.テーラパンタ派センター

 

第10回「平和と非暴力、不殺生の国際会議」にお招き頂き、主催者の皆さまに感謝いたします。そして、ここにお集まりの皆さまに心からのご挨拶を申し上げます。

与えられたテーマは「非暴力と不殺生における教育と訓練、こどもたち」で、更に「一人は平和で持続可能な世界をつくることができる」と案内に書いてあります。それは本当でしょうか?

私は「一人の力では、それは不可能だ」と思います。一人でできることは限られています。それゆえに私たちは友人や理解者をふやし、誰もが生きていける、平和で安定した社会を求めて努力しているのです。

 

現在の日本は政治の悪化により20年間デフレが続き、貧富の格差が拡大しています。お金持ちはわずかな人たちです。経済的に、子どもを産み育てることが困難な若者が増え、子供の数が減り続けています。日本の国は危機に直面しているのです。更に10月からの増税で消費は冷え込んでいます。このように政治も経済も危機に直面している日本から、私は今ニューデリーに来ています。私は、世界の巨大銀行組織を背景にした、グローバリズムがこの地球上を席捲しようとし、まず日本をターゲットにしているのではないかと考えています。巨大な金の力、圧倒的な武力で弱者を支配するのは、まぎれもなく暴力です。そのような暴力に対して戦ったのは、インドにおいてはマハトマ・ガンジーでした。

しかし日本では首相と政治家がグローバリストと手を組み、法律を変えて国を破壊してきました。その一つが、平和憲法を事実上破壊し、今はその憲法を明らかに変え、戦争する国に変えようと準備中です。

私たち日本の国民のほとんどが戦争など決して望んではいません。

 

皆さまはご存知ですか?この12月4日にアフガニスタンのジャララバード近郊で、日本の医師で日本のNGO「ペシャワール会」の現地代表の中村哲さんが武装グループに銃撃され殺されました。彼はNangarhar/ナンガルハル/州のPeace Japan Medical Service/平和日本の医療奉仕/病院の総院長でもありました。およそ30年前Nangarhar州は100年に一度という大干ばつに見舞われ、水が欠乏し食料も底をつき、多くの子供が劣悪の環境の中で死んでいき、全国で400万人が飢餓線上をさまよっていました。そんな状況下で、中村哲医師は彼らの命を助けるには医薬品より先に、水と食料が大切だとして医療から農業へのシフトを決意します。そんな折にニューヨークの9.11の多発テロ事件が発生し、アメリカはアフガニスタンのカンダハルを爆撃。テロなどできるはずもない飢えた人たちの上に空から攻撃したのでした。

日本のNGO「ペシャワール会」は、中村医師の要請で3憶円の資金を集めて、2003年から砂漠地帯にクナール川から水を引き込む工事を開始しました。

中村哲医師は先頭に立って村人たちとともに働きました。ガンベリ砂漠に掘られた27キロメーターのマルワリード用水は、今では60万人を超えるアフガニスタンの人の生活を支えています。真心の奉仕により、彼は現地の人々に尊敬され愛されました。

「武器ではなく命の水を」これが中村医師の言葉です。また彼は次のように言っています。「日本の憲法9条が私を守ってくれている。日本は外国に出かけて行って人を殺すようなことはしないのです」と。今、日本の安倍首相は国際社会の信頼を裏切り、再び日本を暴力行使する国へと変えようとしています。

皆さん、平和とは一体何でしょう?

マルワリード用水の周辺では砂漠が緑に変わりました。農業が営まれ安定した暮らしが回復し、タリバンやISなどの傭兵として出稼ぎをしていた人たちは家族のもとに戻り、農業で家族を養っています。だれも戦争などしたくはないのです。大地に水が流れ作物がとれる。食べ物があり、家族が共に暮らせる幸せ。助け合い、人が人として命を守ることができる社会。それが平和だと言えます。明らかなのは、戦争をしないことがもっとも先決だということです。武器は使わない。暴力は止める。それが平和へのスタートです。

日本の憲法9条は「戦争放棄」の約束です。他国を侵略しないことを明確に誓い、表現しています。中村医師は何の武器も持たず、用いることなく、暴力の危険にさらされたアフガニスタンにおいて、憲法9条に守られ仕事をしてきました。そして哀しいことに、憲法を蹂躙した、米国に従属する、変質した日本政府のもとで命を奪われました。中村哲医師は愛の奉仕に生きた人でした。

 私はコンフェランスの主題である「教育」について、この中村医師から大切なことを学びました。

灌漑用水を建設する工事に当たって、彼はおよそ300年前の日本の江戸時代の知恵と技術を取り入れ、また現地で手に入る資材、伝統的な設備や村人たちの経験や勘も最大限に活用しました。それはすべての人が一体になった事業だったのです。中村哲医師は現地の村人たちが自身で用水路を保全、管理運用できるように考えたのです。そのことは、そこで人々に新たに活力を与える教育でもありました。

 

さて「教育」ですが、私は2つのテキストを王仁三郎の教典から準備しました。

主催者が言うように、教育とは全世代に亘って不断に継続されるべきことです。教える、教わる、そして人間としてともに成長することが教育です。決して子どもや若者に対してだけの教育ではありません。教育に関係する人はまず、自身が学ばねばなりません。

私は少なくともイタリアでは15年ほど、スロベニアでも5年間、生け花を教えています。最高職の免許を取得していますが、いまだに学び、トレーニングを続けています。私の考えは王仁三郎の教えから学んだものであり、同時に体験から実証として理解しています。

テキスト2のタイトルは The Five Activities of the Mind としていますが、王仁三郎の原文は「五情の戒律」です。私と友人はどうしたら、英語で王仁三郎の教えをより良く表現できるか考えました。その結果、五種類の心のはたらきを意味することから、戒律でなく、はたらきを意味する言葉を使いました。王仁三郎の教えは「心を緑の大地のように美しく、実り多く 豊かに耕しなさい」ということだと理解しています。それはすべての人々にとって、天国に近づくための「教育」において役立つことでしょう。

五つのそれぞれの心のはたらきはすべてリンクしていて切り離して考えることはできません。私は常に「反省する」ことを軸にして心を働かせ、互いに平和へ、幸せな社会へ進みたいと願っています。王仁三郎の教えが少しでも平和教育のために役立つならば、幸いに思います。

お聞きいただきありがとうございました。